僕はナツヨが抱えていた右腕を彼女の肩に回した。それを合図にナツヨが唇を寄せてきた。僕は彼女の唇に自分の唇を重ねた。寒さのせいか、ナツヨの唇は冷い。そして、小さな震えが伝わってくる。ナツヨは僕の首に腕を回し、唇を強く押しつけてきた。僕達は深く深くキスをした。
最初の長いキスが終わっても、ナツヨは僕の首に回した腕をほどかなかった。僕達は何度もキスをした。周りの目は気にならなくなっていた。僕は座ったままでナツヨの身体をお姫様だっこをするように持ち上げ、そのまま膝の上に乗せた。ナツヨは僕の首に手を回したままぎゅっと抱きついていた。そのナツヨの身体を僕は抱きしめた。 僕の腕の中でナツヨはふるえていた。僕は何も言わず、膝の上のナツヨを抱いていた。ナツヨは、僕にしっかりとつかまっていた。 「寂しかったの。」 ナツヨがささやくように言った。僕の顔を見上げながら、小さな声で話し始めた。 「会えなくて、本当に寂しかったの。だから、チュのことを責めたのだと思う。ごめんなさい。チュのこと、わかってあげられなくて。」 「いいよ。そんなことで謝らないで。会ってあげられなかった僕も悪いから。」 「でも、本当にごめんなさい。チュのこと、大好きなのに。どうしてあんなに責めるようなことを言ったり書いたりしたのか、私にもわからない。もう絶対そんなことしないから。許して。お願い。」 ナツヨは何度も、好き、と、許して、を繰り返した。そして、僕に抱きつき、胸に顔をうずめてきた。僕は返事の代わりにナツヨに回した腕に強く力を込めた。ナツヨはふるえ続けていた。 僕達はそうやってしばらく抱き合っていた。ナツヨがあまりにも寒そうだったので、僕はなんどか、大丈夫?そろそろ帰ろうか?と話しかけてみた。そのたびにナツヨは首を横に振った。結局、終電が心配になる時間まで、僕達はベンチの上で抱き合っていた。
by blgmthk
| 2006-01-31 23:43
| 両親に報告する
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